洗顔方法は水でいい、ぬるま湯がいい、いや洗顔料が必須だ!と立場が分かれています。結局のところ、汚れがちゃんと落ちているなら洗顔料を使わなくてもいいとなります。実際にどれくらい洗浄力に差があるのか?今回は皮脂だけに着目して実験してみました。
実験内容
水・ぬるま湯・洗顔料の3つで洗顔。残留皮脂の量を見て脱脂力を比較するぞ
- 洗顔前の皮脂状態を記録(マイクロスコープ画像・脂取りフィルムにて)
- 各種洗顔方法で顔を洗う
- 洗顔後の皮脂状態を洗顔前と比較(どれくらい皮脂が落ちているか?)
実験環境
10月って意外とクソ暑い日があるくらい。だから皮脂もしっかり出てる
- 10月のやや暑い日も残る時期
- 水道水は冷たすぎない水温
各種洗顔方法
ほんと、水もぬるま湯も洗顔料も、洗うというより肌になじませるだけ
水洗顔
- 水道水で10回すすぐ(顔にはなるべく触れないように)
- タオルで押し当てて水気を取る(一切こすらない)
ぬるま湯洗顔
- かなりぬるめのお風呂のお湯くらいの温度で10回すすぐ
- 水洗顔と同じ
洗顔料を使った洗顔
今回は泡立てないクレイ(泥)タイプの洗顔料を使用。なじませて流すだけです。
- 洗顔料を10秒かけてこすらないように優しく顔になじませる
- 水道水で10回すすぐ
- 水・ぬるま湯洗顔と同じ
実験結果(マイクロスコープ画像)
予想通りの分かりやすい結果になった
左頬(セラミド保湿継続中)
保湿ケアしているのでキメがハッキリしています。キメの溝と毛穴に皮脂が溜まっています。
ほぼ皮脂は落ちていますが、白くキラキラしているのが残っている皮脂です。
白い反射がなくなり完全に皮脂が取れているようです。やはりお湯は油分を落としやすい。
皮脂自体はぬるま湯と変わりない感じですが、キメがはっきりした感じがしてよりスッキリした感じがあります。当然、洗い上がりの実感もスッキリ感が強くなっています。
分かりやすい結果に。当初の予想通り、水<ぬるま湯<<<洗顔料と脱脂力が強いことが分かりました。
案外と水だけでもかなり皮脂は落ちています。男のゴリゴリのオイリーでも。
右頬(年中ノンケア)
左頬よりキメが荒くのっぺりした肌状態。そのためキメの溝に皮脂が収まりきらず、面で皮脂が広がりテカリ原因となっています。
キメが細かい左に比べてより皮脂が取れている感じがします。これは皮脂が面で付着していたため、タオルに皮脂が密着しやすかったと考えられます。
やはり左頬に比べて脱脂され具合が強く見えます。微妙に白く光る部分が残っているので100%皮脂が落ちているわけではなさそう。
白い部分が消え脱脂されたことが分かります。若干角質が白く浮き上がっている部分があり、洗顔料の角質オフ効果が出ているのが分かります。
キメが粗いと皮脂が落ちやすいことが分かりました。
キメが細かい左頬と比べて水洗顔の段階で皮脂残留量が少ない。
キメが粗い分、皮脂が溝ではなく面に広がっていてタオルに吸われやすくなっているため。
実験結果(脂取りフィルム)
ぬるま湯では程よく皮脂が残っているのが分かった。ただ皮脂量が多いと過剰に残る。でも洗顔料はやはり脱脂力がすごかった
頬
元々左のほうが皮脂が多かったのもありますが、明確に右側はしっかり皮脂が取れています。キメの粗さが原因と考えられます。
ぬるま湯になると左も右とほぼ同等に皮脂が落ちました。やはりお湯の効果は強い。
ほぼ完全に皮脂が取れていますね。さすが洗顔料。
やはり水とぬるま湯でもある程度皮脂は落ちています。
ただ洗顔料を使った後を見ると皮脂が取り切れていないことが明白に。
おでこ
皮脂量が多いと水洗顔では落ちきらないようです。頬と違い左のほうが落ちているのは、おでこはキメの細かさが元々あまりないせいでしょう。
ぬるま湯でも皮脂がかなり残りました。
洗顔料を使うと綺麗スッキリと皮脂が落ちましたね。
皮脂量が多すぎるとぬるま湯でも皮脂が残りすぎました。
しかし洗顔料はしっかりと取り切れました。
おでこの皮脂量を取り切れた界面活性剤は頬では余っていたことになります。余った界面活性剤が肌のセラミドを溶かし出す悪影響が出てしまう原因へ(今回は短時間馴染ませただけだから問題なし)。
結果検証(水洗顔)
水で肌を濡らすだけで皮脂がタオルに吸われやすくなる。思っていたほど皮脂が取れてビックリだ
水洗顔でも実はかなり皮脂は落ちている
水洗顔だと皮脂があまり落ちていないというイメージを持っている人は多いでしょう。
ですが、意外なほどに水だけでも皮脂は落ちていました。
もちろん他の方法より落ちていないのは確か。しかし、皮脂量なんてみんなそれぞれ。水洗顔で十分という人も存在するのでは?
なぜ水で皮脂が落ちる?理由はタオルに吸い取られやすくなるから
皮脂はタオルで押さえてもほとんど取れませんよね?でも水洗顔後なら落ちます。
正確に言うとタオルに皮脂が移っています。
水分を与えることで、水分がタオルに吸われるのにつられて皮脂も吸われるからです。
皮脂が多すぎる肌だとさすがに脱脂力不足
頬は水洗顔でも皮脂がかなり落ちましたが、おでこは残留皮脂が非常に多くなりました。
皮脂量が多いと水で混じってもタオルに移る量に限界があるようです。
結果検証(ぬるま湯洗顔)
皮脂が少ない人ならぬるま湯洗顔で十分かもしれない。洗顔料で洗うとセラミドが脱脂されて乾燥原因になるかも
ぬるま湯にするだけで皮脂除去力が大幅アップ!
ぬるま湯洗顔にしただけで脱脂力が大幅に上がりました。
油はだいたい40℃くらいから溶け始めます。つまり水温が高いほうが油は柔らかくなり流れ出やすくなります。
食器洗浄機は高温のお湯で洗いますよね?お湯のほうが油汚れが落ちやすいからです。
皮脂は体温で温められていますが、そこからさらにぬるま湯を馴染ませることで、より皮脂が柔らかくなりタオルに座れやすくなる、またすすぐときに水と一緒に流れやすくなると思われます。
ぬるま湯でもゴリゴリなオイリー肌はキツイ
水洗顔と同じくオイリーなおでこはぬるま湯でも皮脂が多く残りました。
ただこれはお湯の温度を上げればもっと取れるようになります。
熱々のお湯で洗顔とかはやらないでしょうが……
結果検証(洗顔料を使った洗顔)
洗顔料は時間をかけなくても馴染めば十分脱脂されるのが分かった。洗顔時間をできるだけ減らせばいいんじゃない?時間をかけてもデメリットしかないよ
洗顔料は馴染ませるだけで脱脂する
今回、たまたま泡立てないタイプの洗顔料でしたが、泡立てる洗顔料のクリームタイプを同様に使っても同じことになります。
また泡を作って馴染ませても同じです。
洗顔料は肌に付着しただけで皮脂を取り去ってくれます。時間をかける必要はありません。
今回は顔全体に10秒でこすらないように塗り拡げただけです。それでご覧のように皮脂が完璧に除去できます。
皮脂量が多くても洗顔料は関係ない
水、ぬるま湯洗顔は皮脂量が多いおでこでは残留皮脂が多く残りました。
しかし洗顔料は難なく皮脂を取り去ってくれました。馴染ませるだけでしたが。
食器のしつこい油汚れの洗い物だと洗剤を2回使わないと落ちない、ということもありますが、顔のゴリゴリオイリー肌くらいなら洗顔料で十分落ちるようです。
※使用した洗顔料はマイルドな洗浄力です。それでも十分なんです
結果検証(その他)
キメが粗いと脱脂されすぎる
洗顔の悪影響を減らしつつしっかり洗顔したい!それならキメを細かくしよう!
洗顔のし過ぎが乾燥肌原因になることは認知されてきています。ただそれは洗顔料の使い方や洗顔料の種類などで語られがち。
今回の実験で明らかになったのはキメの影響。
私の顔右は普段保湿なしのノンケア。そのためセラミド保湿継続中の左よりキメが粗い。
そんなキメが粗い顔右は水とぬるま湯ともに左より皮脂がよく落ちました。
つまりキメが粗いと洗顔時の脱脂力が強まる恐れがあるということです。
キメが粗いということは以下の状態になります。
- キメの溝が少ない
- 溝が浅い
- 角層の面部分が広い
この状態だと皮脂がキメの溝に入らず、皮脂が面の平たい部分に乗っかる量が増えます。毛穴の汚れが落ちにくいように、当然溝が深く多いほうが皮脂は落ちにくくなります。
キメが粗いと水やぬるま湯でさえ予想以上に脱脂されます。洗顔料の界面活性剤の脱脂力もより強く影響するものと考えられます。
ということは、キメが粗い乾燥肌の人は、キメが細かい人より気をつけて洗顔しても乾燥しやすい環境にある、ということになります。
キメが粗いとあぶらとり紙で過剰に脱脂しているかもしれない
まだ皮脂が取れる~!と繰り返しやっていると、キメが粗い人は余計に乾燥するし余計に皮脂が出るかも
キメが粗いと肌の平面が多くて皮脂が奪い去られやすい可能性があります。
となるとあぶらとり紙を使ったときも同様のことが起きます。
あぶらとり紙は肌にペタッと押さえつけて余計な皮脂を取りますが、キメが粗い肌だと平面部分の皮脂がより多く脱脂されます。
一方キメが細かい肌だと溝部分の皮脂はあまり脱脂されません。あぶらとり紙が溝奥まで当たらないので。
なのでキメが細かい肌はあぶらとり紙をいくらペタペタしても皮脂を取りすぎるということはなさそうです。
しかしキメが粗いとどうか?
「まだこんなに皮脂が取れる!!」
と変色したあぶらとり紙を見てまた追加の一枚……
実は平面部分の皮脂が積極的に取れているだけで、量的には十分余分な分は脱脂できているのに、さらに脱脂してしまうことで肌状態悪化してしまうことに。
また皮脂が過剰に脱脂されたことで肌が皮脂を補おうとしてまたオイリーに傾く可能性もあります。
洗顔方法で悩む人へのアドバイス
乾燥肌でずっと悩んでいる……それ洗顔料が余計かも??
洗顔時間を減らすだけで乾燥肌が治る人は結構多いと思うよ
水でもかなり皮脂が落ちているのが分かったと思います。
ただ皮脂量が多いおでこはダメでした。
このように皮脂量によっては水洗顔でもかなり皮脂が落ちているのが分かります。
人によって皮脂量は違います。
おでこはオイリーだけど頬はカサカサ。そんな人が洗顔料で顔全体を洗うとどうなるのか?
おでこはバッチリですが、頬は洗顔料の界面活性剤が作用するだけの皮脂がありません。
じゃあどうなるか?
余った界面活性剤は他の油分を奪い去ろうとします。
それが角層内のセラミド(脂質)です。
乾燥肌=セラミド不足と言っていいくらいなので、洗顔料が乾燥肌原因になっている人が非常に多いのです。
おでこがオイリーで頬がカサカサな人におすすめの洗顔料の使い方
乾燥している部位に洗顔料の泡は乗せない。水で流す直前にサッと乗せてすぐ流す
オイリーなTゾーンから洗顔の泡を乗せていく、というのは以前からよく聞く洗顔手順です。
しかし、結局カサカサの頬に洗顔料の泡をガッツリ乗せてしまうと一緒です。洗顔料が付着していた時間にわずかな差が生まれるだけです。
なので泡は頬に乗せません。
それじゃ頬の皮脂汚れが……
と気になりますが、水洗顔でもかなり皮脂が落ちているのが分かったはずです。洗顔料は過剰です。
そして水で流す直前にサッとおでこなど他の部位の泡を頬に馴染ませます。それだけです。
そして水で流します。いつも通りに。
これでも、洗顔料の脱脂力が頬に付着して皮脂を取り去ってくれます。
もちろん皮脂量が多い人だと残留しますが、カサカサの乾燥肌で皮脂が少ない部分ならこれで十分です。
さらに水で流す際も、薄くなってはいるものの界面活性剤が頬に付着し続けます。なので最終的にはちょうどよくなっているでしょう。
朝は水洗顔がどうしても不安、不快な人へのおすすめの洗顔方法
朝、皮脂を取りつつ水洗顔を維持したいならシャブシャブの洗顔料水で洗ってみて
私は男で皮脂が多いですが、夏場も基本朝は水洗顔です。
まあ洗顔料を使ってもいいんだろうなってくらいには皮脂が出ているんですが、なんか水洗顔で問題なくやってます。
ではそこまでオイリーじゃないんだけど朝も洗顔料使った方がやっぱりいんじゃないだろうか……と不安を抱えている人は多いと思います。
そんな人におすすめな洗顔方法は、シャブシャブ洗顔料水で洗うことです。
水洗顔に不安を感じている人は以下の気持ち。
- 水洗顔で済ませたい
- しかし水だけだと不安
洗顔料は肌に付着しただけで皮脂を取り去るってことが実験で明らかになりました。
ということは、少し洗顔料があればいいんじゃないでしょうか?
洗顔料の濃度を低くすれば、洗顔料の脱脂効果もある程度得られつつ、水洗顔の良さも維持できるわけです。
どうするか?
- 洗顔料をほんの少し手に取ります。通常使用量の半分以下。3分の1とか。ここは皮脂量で調整
- 水で適当に洗顔料が溶けた水を手のひらで作ります(私は片手でお椀を作り、水を少し加えて溶かします)
- 水道水を出します
- 両手で水を加えて手のひら一杯のシャブシャブな洗顔料水を作ります
- 水道水を出したまま、手のひらのシャブシャブな洗顔料水を顔にかけます
- すぐ水洗顔をします
実はこれだけでもかなり顔はスッキリします。
洗顔料の脱脂力が肌に作用したのは一瞬ですが、その一瞬で皮脂はかなり持っていかれます。
普通に洗顔料を使った場合に比べて乾燥しません。
洗顔料の量を減らして普通に朝の洗顔をする人がいますが、洗顔料の量を減らしても時間をかけると過剰脱脂になる可能性はあります。
朝も洗顔料を使うべきという意見は誰が?が重要
朝は水洗顔がいい、いや洗顔料を使うべきだ!という意見は人それぞれ。状況によって違うから誰が誰のために言っているのか見極めよう
2022年放送の「洗顔」のトリセツでは、朝も洗顔料を使うことで肌荒れが治った、という内容が放送されました。
▼「洗顔」のトリセツの放送内容
- 肌老化原因は朝の皮脂をしっかりと取りきらないから起こる
- 朝も洗顔料でちゃんと洗うべき(つまり水洗顔を否定)
- 肌荒れに悩んでいる+朝に洗顔料を使っていない人が実験対象
- 朝も洗顔料で洗顔を開始。すると肌荒れが治ったり調子が良くなった
ということでしたが、番組内で出てきた実験対象者は、
- 10代女性
- 30代以上?の男性
ばかりでした。
てことは、皮脂が多い人じゃないかと。
女性でも10代なので皮脂が多い時期です。男の30代なんて皮脂バリバリです。
そりゃあ朝に皮脂でコテコテなら洗顔料を使ったほうがいいケースはたくさんあるでしょう。
しかし、番組を見た人はどうでしょうか?
皮脂スカスカの乾燥肌の人が朝にガッツリと洗顔料を使うと乾燥が悪化すると思います。そんなに落とす皮脂がないからです。
つまり、洗顔料を使いましょう!という情報は、誰が誰のために言っているのか?が重要です。
同時に、「洗顔」のトリセツでは、ぬるま湯の温度が高すぎるとダメということも放送していました。
確かに温度が高いと脱脂力が高まります。なので肌の保水成分が減って乾燥する恐れがあります。
しかし、朝に洗顔料を使わない人なら、多少高めの水温でも問題ない可能性が高いです。
洗顔料のほうが脱脂力は強いのは今回の実験で明らか。
お湯の温度の前に洗顔料を使うか使わないかのほうが乾燥肌に影響するんです。
ぬるま湯の温度だけで解決するわけではない点が注意です。